和佐隆弘の論文など - Opinions of Takahiro WASA -


by wasatakahiro

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世界の正常化への激動と円高、株安

90年1月の一般教書で、ブッシュ米大統領は89年を「革命の年」と表現した。ベルリンの壁が崩壊したあと、ルーマニアのチャウセスク体制をはじめ東欧諸国の体制改革が進み、バルト三国のソ連からの独立など、それまでの常識では考えられなかったようなことが続発した。12月には、ゴルバチョフソ連最高会議議長とプッ
シュ大統領とのマルタ会議〈地中海のマルタ島沖)で、冷戦終結宣言
が調印された。

これをきっかけに、『歴史の終り』、『文明の衝突』とか「資本主義対資本主義同「大競争の時代』といった出版物の著書名がキーワードとして流行したことは、周知の通りである。それまでは、イデオロギーの対立から、米ソの両大国が互いに相手を敵とし、総力をあげて優位に立とうとした。ヒト、モノ、カネが戦争という破壊力のために最優先に動員された。「革命の年」はこうした戦争の論理から平和の論理へのパラダイム転換の年でもあった。理性の基準に照らすと、狂気の時代からの"正常化への激動"にほかならない。
ここで是非思い出してもらいたいのは、世界の政治が戦争から平和でつまり経済の論理が復権した八九年を境界にして、日本の株価が急落に転じたことである。これに続いて地価も暴落、つまり、バブル崩壊乏なった。九二年八月の総合経済対策以来、数次にわたり数十兆円もの財政支援策や史上最低金利といった金融政策にもか
かわらず、不良債権のヤマは膨張の一途をたどっている。
悪化をたどっていた国と地方の財政赤字はいよいよ"待ったなし"の状態に追い込まれた。これに加えて、年金や医療など社会保障制度も財源面から破綻を露呈し始めている。
 その一方で、国際収支はなお大幅な黒字が続いている。このため、わが国の外国への投融資から日本に対する投融資を差し引いた対外純資産残高は、九五年末で七宅五百億ドル近くに達している。このために、円相場も90年5月には1ドル80円まで円高になった。
85年のプラザ合意のときの240円台から十年で三倍という激しい円高へのプレ方である。

(③以降につづく)

1997年4月,日本及日本人(平成9年陽春号)

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by wasatakahiro | 2009-02-27 01:51 | 既発表のもの
裁判所HP判例検索システム等より引用

裁判長裁判官 堀籠幸男
裁判官 藤田宙靖
裁判官 那須弘平
裁判官 田原睦夫
裁判官 近藤崇晴

事件番号 平成20(受)1207
事件名 株主権確認等,株主名簿名義書換等,株式保有確認等請求事件
裁判年月日 平成21年02月17日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決

結果 棄却

原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 平成19(ネ)5764
原審裁判年月日 平成20年04月24日

判示事項
裁判要旨 株式会社の従業員といわゆる持株会との間における,当該従業員が持株会から譲り受けた株式を個人的理由により売却する必要が生じたときは持株会が額面額でこれを買い戻す旨の合意が有効とされた事例

裁判所HP
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37305&hanreiKbn=01

判例全文PDF(裁判所HP)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090217152641.pdf
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by wasatakahiro | 2009-02-25 22:10 | 日刊新聞法
日本の経済発展の”神風”・冷戦体制

 ベルリンの壁が崩壊してもうすぐ十年になろうとしている。四十年にも及ぶイデオロギーの対立による地球人類社会を二分した冷戦は西側の勝利に終わった。政治における議会制民主主義と経済における市場経済体制が歴史の審判に勝ち残ったのである。戦後半世紀の歴史を振り返ったとき、日本がこの勝利した体制の側にあったこ
との幸運をいくら強調してもしすぎることはない。

 戦後の経済復興の優等生といえば、旧西ドイツと日本である。経済の奇跡とさえ称された。その一方の西ドイツは、旧東ドイツの経済的統合のために四十年に及ぶ蓄積の相当部分を消耗してしまった。一九九O年三月にボン政府の招待で旧東ドイツ初の総選挙を取材する機会があった。コール首相は一対一の通貨統合を呼びかけていたが、その時にかい間みた旧東ドイツの経済実態は一対四とも一対八ともいわれていた。

 その時、ボン政府の一人から聞いた次のことばを忘れることができない。「われわれは共産主義計画経済という不幸な体制下にある東ドイツを助けなければならないと考えできた。その時にそなえで経済力を強化し、外貨準備をたくわえてきた。近代国家としての憲法をわざわざ『基本法』と名づけているのも民族統合を達成したあ
かつきに憲法をつくるためだ」と。東側の経済の優等生といわれた旧東ドイツの経済でさえ、統合段階では巨大な”お荷物”になっていたのである。

 それに比べてみて、戦後の日本の世界史における経済環境の何と恵まれていたことか。米ソの軍拡競争下にあっては、戦争放棄をうたった九条をもっ平和憲法は、資本蓄積に大きく貢献した。そのうえ、朝鮮戦争やヴェトナム戦争といったアジアでの不幸な出来事でさえ、それらが特需景気をもたらした。まさに経済国家日本の”経営”において”神風”が吹いていたのである。

 勤勉で質の高い労働力と優秀な官僚が戦後の経済の奇跡にあずかつて力があったことは事実である。終身雇用、年功序列賃金、企業内組合といった日本的経営の果たした役割も大きいだろう。だが、冷戦構造という神風的な世界状勢がその背景にあったことを忘れては、その評価を誤ることになる。
 いや、ペブル崩壊後の景気対策がその所期目標を達成できず、対症療法から脱せられないのは、この”神風”が今や”逆風”に変わったという認識を欠いていることが深く関係している。二十一世紀を展望するうえで、現状打開策を検討するための前提として、議論のテーブルに上げておかなければならない。

(②以降につづく)
1997年4月,日本及日本人(平成9年陽春号)
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by wasatakahiro | 2009-02-25 21:45 | 既発表のもの
副題: 望まれる市場機能に不可欠な政治の立法力と、資源最適配分に複式簿記の復権を―

 ① 日本の経済発展の“神風”・冷戦体制
 ② 世界の正常化への激動と円高株安
 ③ 世界最大の債権国が財政難―資源最悪配分
 ④”一身独立”の福沢諭吉と”地位の平等”のトクビル
 ⑤ 日本版ビッグバンの条件―『方法序説』
 ⑥ パラダイムの転換とコペルニクス革命
 ⑦ 近代国家の誕生とホッブスの『リヴァイアサン』
 ⑧ 市場経済の鏡・アメリカの独立宣言
 ⑨ ”見えざる神の手”に不可欠な会計の発達
 〇 「真実性の原則」の違反だったバブル経済
 〇 ゲーテ=文明人の資格と複式簿記
 〇 公共の不幸と政府の腐敗―人権の不知
 〇 ”前近代”の超克としての『法の精神』
 〇 所得・資産の”測定”と近代合理主義
 〇 『地球人類幸福論』―『国富論』を超えて

    pp.87-97, 日本及日本人(平成9年陽春号), 1997年4月
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by wasatakahiro | 2009-02-24 22:57 | 既発表のもの
 所得・住民税減税と熱暑のおかげで、消費を中心に景気は底入れから回復に向かっている。しかし、本格回復へのシナリオは聞かれない。雇用情勢はむしろ悪化している。

 世界最大の債権国で、強い円の日本がなぜ有効な政策を打てないのか。この原因が解明され、それについて国民の十分なコンセンサスが成立しない限り不安がつきまとう。

 来年8月で敗戦50年になる。この際、
戦後の日本経済を総括しておく必要があるのではないだろうか。PKO(株価維持策)で身動きできない株式市場を改革し、日本経済が活力を取り戻す政策につながるはずである。同時に、経済大国としての何よりの国際貢献になる。

 上場大企業の経営を中心に証券市場を32年みてきた経験から、思いつくままにキーワードを並べて、議論のたたき台を考えてみたい。

 まず、円高不況3度目の壁である。85年のプラザ合意による円高までと違っている点で、①89年の東西連戦構造の崩壊②BIS(国際決済銀行)規制の成立③地価税の創設―を注目したい。

 イデオロギーの対立を背景とする米ソ両大国の派遣をめぐる軍拡競争は、人類の生命と地球の資源配分の異常の極みだった。89年は正常化への激動の象徴である。自己資本比率をテコとするBIS規制は、健全性をないがしろにした銀行経営の正常化であり、地価税は”花見酒”の経済体質への“特効薬”であった。

 次に、89年までの、世界も日本も異常だった時代に累積された経済の実像である。マクロとしては、①世界最大の債権国となる一方で②国、地方を合わせた財政赤字の拡大③円高の進行―など。ミクロでは①上場企業の大量エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)②土地・株長者の大量発生―を指摘しておきたい。

 以上から言えることは、
戦後の日本は「国民主権の法治国家ではなかった」ということである。もしそうなら、先に挙げた経済現象は起こり得なかったはずだ、といいたい。

 市場経済の主役、つまり
①労働者②株主③納税者―の主権回復が不可欠である。「代表なくして課税なし」という議会政治の理念が、現実は「代表送って課税逃れ・補助金ねらい」である。大多数の労働者は「源泉徴収されて代表なし」といえないか。まさに人権の無視だが、その事実さえよく知らされていない。

 ”人権の不知”が公共の不幸と政府の腐敗の諸原因、とは1789年のフランス人権宣言の前文の一節である。債権大国日本の不況の諸原因であってはならない。(十一)


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by wasatakahiro | 2009-02-23 21:52 | 既発表のもの
昭和26年6月2日 参議院本会議

○副議長(三木治朗君) 次に日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社及び有限会社の株式及び持分の讓渡の制限等に関する法律案の討論に入ります。討論通告者の発言を許します。羽仁五郎君。
   〔羽仁五郎君登壇、拍手〕

○羽仁五郎君 私は本案に反対するものでございます。

 言論の自由を理由として、ここに特に新聞社のために新らしい商法において唯一の除外例を設け、新聞社に限つてその株式の讓渡の制限又は禁止を許そうとする本法案に対する私の反対のすべての理由は、現在我が新聞社が言論の自由を飽くまで守る確証を我が国会及び世論に対して與えていないからであります。本案発議者は、現在日本の新聞において言論の自由が守られていると説明されました。果して然らば私は喜んで本法案に賛成したいのであります。併し、最近イギリスにおいても新聞の自由の危機について世論及び国会に深刻の問題が発生している。かく、新聞の自由において輝ける伝統を有するイギリスにおいてさえ現在深刻の問題を生じているのに、我が日本において新聞の自由が確保されているとして、我々が安心していることができましようか。而も現在イギリスにおいては、この危險を直視し、その対策が講ぜられているのに、本法案は、この危險に目を蔽い、そうした危險がないもののように装つて、事実を欺き、事実の虚偽の上に立法しようとしているのであります。昨年十一月、イギリスの有力紙ピクチユア・ポストの名編集者ホプキンス君が突然解雇された。その理由は、同紙上に、現在イギリスの新聞記者として最も卓越の一人として知られているジエイムス・カメロン通信員が、南朝鮮軍の残虐行為について報道し、国連がこれを阻止すべきことを求めた記事を掲載すべきか否かにつき、同紙の編集者と、同紙の所有者、経営者であり編集長であるエドワード・ハルトン君との間に見解の不一致を生じたということであります。而もハルトン君は、新聞の所有者として経営者として知的の識見を有し、聰明を以て知られていた人物である。更に又ここにおいて、ザ・ニユー・ステイツマン・アンド・ネイシヨン紙のごときは、その十一月十一日、その社説を以て「今や、イギリスの新聞記者、編集者は、何ものをも恐れるところなく真実の報道の任務使命を果す確信を失わねばならないか」と警告し、新聞の経営権と編集権との正しい関係の回復を要請しておるのであります。

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by wasatakahiro | 2009-02-22 18:13 | 日刊新聞法
- What Can We Learn From America, Why the Economy is Subject to the Rule of Law?-

By Takahiro WASA and Hideaki SONOYAMA
Journal of Japanese Trade and Industry, May/June ,2000; July/August,2000; September/October,2000

Part1(May/June):
How the World's Largest Creditor Nation Landed in Financial Crisis

Part2(July/Aufust):
Restoring the Function of the Market
- A "New Deal " for the Allocation of Resources
30 Years of "Extraordinal" Exemption of the rule of the Market
- Reallocating the Missallocated Assets
Funding the Current Value Accounting System
- Taxes on Reassessed Land Assets and Inheritancess

Part3(September/October):
Plan for Peaceful Use of Asset-Rich JAPAN
Contributing to an Adaptation to the "Age of Mega-Competition"
Japanese -style Marshall Plan for Optimism Asset Allocation and a Millenial "Glourlious Revolution"
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by wasatakahiro | 2009-02-22 12:40 | 既発表のもの