和佐隆弘の論文など - Opinions of Takahiro WASA -


by wasatakahiro
 所得・住民税減税と熱暑のおかげで、消費を中心に景気は底入れから回復に向かっている。しかし、本格回復へのシナリオは聞かれない。雇用情勢はむしろ悪化している。

 世界最大の債権国で、強い円の日本がなぜ有効な政策を打てないのか。この原因が解明され、それについて国民の十分なコンセンサスが成立しない限り不安がつきまとう。

 来年8月で敗戦50年になる。この際、
戦後の日本経済を総括しておく必要があるのではないだろうか。PKO(株価維持策)で身動きできない株式市場を改革し、日本経済が活力を取り戻す政策につながるはずである。同時に、経済大国としての何よりの国際貢献になる。

 上場大企業の経営を中心に証券市場を32年みてきた経験から、思いつくままにキーワードを並べて、議論のたたき台を考えてみたい。

 まず、円高不況3度目の壁である。85年のプラザ合意による円高までと違っている点で、①89年の東西連戦構造の崩壊②BIS(国際決済銀行)規制の成立③地価税の創設―を注目したい。

 イデオロギーの対立を背景とする米ソ両大国の派遣をめぐる軍拡競争は、人類の生命と地球の資源配分の異常の極みだった。89年は正常化への激動の象徴である。自己資本比率をテコとするBIS規制は、健全性をないがしろにした銀行経営の正常化であり、地価税は”花見酒”の経済体質への“特効薬”であった。

 次に、89年までの、世界も日本も異常だった時代に累積された経済の実像である。マクロとしては、①世界最大の債権国となる一方で②国、地方を合わせた財政赤字の拡大③円高の進行―など。ミクロでは①上場企業の大量エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)②土地・株長者の大量発生―を指摘しておきたい。

 以上から言えることは、
戦後の日本は「国民主権の法治国家ではなかった」ということである。もしそうなら、先に挙げた経済現象は起こり得なかったはずだ、といいたい。

 市場経済の主役、つまり
①労働者②株主③納税者―の主権回復が不可欠である。「代表なくして課税なし」という議会政治の理念が、現実は「代表送って課税逃れ・補助金ねらい」である。大多数の労働者は「源泉徴収されて代表なし」といえないか。まさに人権の無視だが、その事実さえよく知らされていない。

 ”人権の不知”が公共の不幸と政府の腐敗の諸原因、とは1789年のフランス人権宣言の前文の一節である。債権大国日本の不況の諸原因であってはならない。(十一)


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# by wasatakahiro | 2009-02-23 21:52 | 既発表のもの